★DSIX第10.5世代機情報★
●添付ファイル(数字をクリックしてください)
(1)DSIX第10.5世代機の手描き回路図
(2)ホットボンド処理前のDSIX第10.5世代機表側
(3)ホットボンド処理前のDSIX第10.5世代機裏側
(4)完成したDSIX第10.5世代機の表側
(5)完成したDSIX第10.5世代機の裏側
DSIX第10.5世代機は、第10世代機に抵抗を1本追加して、S/N感、分解能、躍動感を
更に改善した第10世代機のマイナーチェンジ版です。
第10世代機までのDSIXは、消費電流の平均値は約20mAですが、出力信号のローとハイ
に対応して、レギュレーター以降の負荷電流は、約1mAから約35mAまで幅広く変化する回
路構成になっています。
レギュレーターの出力側に1000μFのコンデンサーを入れているため、実際のレギュレータ
ー負荷電流の変化幅はもっと少なくなると思いますが、負荷電流の変化に起因するレギュレー
ター出力電圧の変動は、インバーターICの伝搬遅延時間の変動、言い換えるとジッターにな
るため、音質の劣化につながります。
そこで、負荷電流の変動に伴うレギュレーター出力電圧変動を低減するために、ダミー抵抗
を追加して常時一定のアイドル電流を流し、負荷電流の変化率を減らすことにしました。それ
が第10.5世代機というわけです。
アイドル電流は、多ければ多いほど電流変化率が下がって電圧変動が減りますが、あまり多
いとレギュレーターの発熱量が増えて放熱器が必要になります。そこで試しに、ダミー抵抗に
100Ωを用いて50mAのアイドル電流を流してみたところ、S/N感、分解能、躍動感に顕著な
改善効果が認められましたので、ダミー抵抗は100Ωに決定しました。
ダミー抵抗は250mWの電力を消費しますので、1/2W以上のワット数が必要です。
また、この抵抗の電流が揺らいだら意味がありませんので、ローノイズで抵抗温度係数の低い、
金属皮膜抵抗器か金属箔抵抗器を用いる必要があります。
今回試作した第10.5世代機は、抵抗の差し替えができるようにソケットを用いたのですが、不
覚にもIC用の0.5mm径のリード線までしか挿せないソケットを用いたため、ビシェイの抵抗器
が挿せず、このソケットに挿せる1/2Wの金属皮膜抵抗器でしかテストできませんでした。
抵抗を差し替えてみると、同じ1%偏差の金属皮膜抵抗器でもメーカーによって微妙に音が違い
ますので、使用する抵抗は慎重に選ぶ必要があります。
今回は、分解能やS/N感の点で優れている進工業のプレート型1/2W金属皮膜抵抗器RE55
を用いましたが、これまでの経験からすると、ビシェイの金属箔抵抗器を用いれば、もっと良い
結果が得られるような気がします。第10.5世代機を自作される方は、ソケットなど用いずに、1/2
W〜1Wの高品質100Ω抵抗器を、直接ハンダ付けされるとよいでしょう。
たった1本の抵抗を追加するだけで、DSIXはさらに躍動感のある、よりエキサイティング
な音に進化します!
なお、第10.5世代機の裏側写真で、ピンプラグの取り付け部にRCC社のレゾナンスチップ(ゴム
系両面テープとアルミディスクで構成される制振材)が貼り付けてありますが、これを付けると、
より一層鮮明な音になります。出力ケーブルのピンプラグにもレゾナンスチップを貼れば、さら
に効果的です。
以上のように、100Ωのダミー抵抗を追加して50mAのアイドル電流を流す構成にした点と、レ
ゾナンスチップを追加して制振対策を施した点が、DSIX第10.5世代機の改良点です。
(2000年6月13日 書き下ろし/柴崎 功)